仙台国際音楽コンクール

Column&Review

第22回:クラシックソムリエが案内する Road to 仙台国際音楽コンクール

いよいよチケット発売、コンクールの聴き方あれこれ

クラシックソムリエ 高坂 はる香

 2016年、3年に1度の仙台国際音楽コンクール開催の年となりました。5~6月のコンクール本大会に向けて、2月12日にはコンクール鑑賞チケットが発売されます。気になる出場者の発表も、2月15日までに行われる予定です。

 各部門、約2週間にわたって開催されるコンクール。どの期間を、どんな観点をもって聴くかで、受け取る楽しみも変わってくるでしょう。

 そんなわけで、仙台に住んでいるけれどこれまでコンクールをちゃんと鑑賞したことがないという方、今回は旅行がてら仙台に出かけてコンクールを現地で鑑賞しようとお考えの方にむけて、仙台国際音楽コンクールの聴き方について、いくつかのご提案をしたいと思います。

 

◇スター誕生の瞬間を見届けたい派、協奏曲をじっくり聴きたい派

 

 まず王道は、ファイナルを聴くパターン。コンクールという場ではやはり、誰が優勝に輝き、新しいスターとなるのかが気になります。それを見届けるため、ファイナル3日間で協奏曲を聴き、最終結果発表の場にも立ち会う。普段のコンサートにはない、特別な種類の興奮を味わうことができるでしょう。入賞者たちのステージ外の素顔も垣間見ることができ、彼らがその後、世界で活躍する様子を見守る楽しみも増えます。

 

 ちなみに、仙台国際音楽コンクールの場合、ファイナルの審査規定には「前審査段階の評価を考慮してはならない」とあります。つまり、(審査委員がそれ以前に聴いた印象を全て忘れられるはずはないにしても)基本的には、“ファイナルの演奏の出来が最終結果に反映される”ということ。

 ファイナルを聴いておけば、ご自分の感想と審査結果について、音楽愛好家仲間と意見を交わす楽しみも持てるかもしれません。

 

 セミファイナルも、課題が協奏曲中心のコンクールならではの聴き比べが楽しめるステージです。

 ヴァイオリン部門ではシューマンのヴァイオリン協奏曲が、ピアノ部門ではベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番または第4番が課題となっています。奇抜な選曲や派手な演奏によるごまかしはききません。出場者の数が、予選の約36名から一気に3分の1の12名に絞られたセミファイナルですから、当然、実力も高い。深い音楽性を確かめられるという意味では、最も充実しているステージかもしれません。

 

◇自分好みを“発掘”したい派

 

 もうひとつお薦めなのが、予選をじっくり聴くというもの。課題が協奏曲中心のコンクールにおいて、ソロの演奏を存分に堪能できる貴重なステージでもあります。ヴァイオリン部門はとくに、課題曲の指定で同じ曲が多く演奏されるので、ひとつの作品の明らかな聴き比べを楽しむことができるでしょう。

 また、日本の音楽ファンがまだ見出していない才能を見つけることも、楽しみのひとつ。末永く応援することになる演奏家との運命的な出会いがあるかもしれません。世界から集まった若手の演奏を昼から夜まで聴くことができて、チケットは1000円。お手頃価格でたっぷり楽しめるのも魅力です。確かな音楽の好みがあるという方にとっては、実は予選が一番おもしろいと思います。

 各ラウンドの最終日には終演後、会場で次のステージに進む出場者が発表されます。緊張、喜び、落胆が入り乱れる独特の空気が漂う瞬間です。

 お気に入りの出場者が通過すれば祝福の声を。その逆の場合は難しいところですが、状況を見て、心からの感動を伝えるのも良いかもしれません。

 

 華やかなファイナルを楽しむもよし、予選でじっくり好みの演奏家を“発掘”するもよし。全日程を会場で聴くのは難しい方が多いと思いますので、インターネット配信とうまく組み合わせて、自分なりの楽しみ方を見つけてください。