仙台国際音楽コンクール

Column&Review

第1回:クラシックソムリエが案内する Road to 仙台国際音楽コンクール

クラシックソムリエが案内する「仙台国際音楽コンクールへの道」

クラシックソムリエ 高坂 はる香

 生の楽器の音というのは、格別なものです。デジタルな音があふれる今の時代、アコースティック楽器が空気を震わせて生まれる音を直接浴びることのできるクラシック音楽のコンサートというのは、シンプルながらとても贅沢。静寂の中で繊細な響きに耳を澄ませたり、オーケストラが発する身体ごと震えるような響きに圧倒されたり……。
 クラシック音楽の世界のトビラを開けば、なんとそんな体験がいつでもあなたの身近なものになるのです!

 

 「音楽を楽しむのに知識なんていらない。心で感じればよい」とは、よく言われることです。美しいメロディや刺激的なリズムの宝庫であるクラシック音楽でも、もちろんそれは同じこと。ビビッとくる音楽を純粋に楽しめばよいのは確かですが、同時に、その心で感じるものをより大きくするためには、ときに知識がとても大きな役割を果たします。
 長い長い年月を経て珠玉の作品が産み落とされてきたクラシック音楽の世界では、とくにそうだといえるでしょう。ある作品が生まれた背景にはどんな真実が隠されているのか? そうした歴史を紐解くと、作品から受ける感動もぐっと大きくなります。そして、そんな作品と奏者の無数の組み合わせの中から、好みの演奏、自分に合った聴き方を選ぶためにも、やはりいくらかの知識が必要不可欠です。

 特にコンクール鑑賞を十二分に楽しむためには、自分だけの審美眼を持つことがとても大切なポイントとなります。ほとんどの出場者は、まだ世界で認められる以前の“金の卵”たち。その頂点に輝いた優勝者の音楽を楽しむことはもちろん、たくさんの金の卵の中から、あなた自身が思う最高の演奏家を見つけ出すことにこそ、コンクール鑑賞の醍醐味はあります。

 すでに有名で誰もがすばらしいと評価している演奏家を聴くのももちろん素敵な体験ですが、未来の巨匠を自分の耳で見つけ出すことには、またひと味違った喜びと感動があります。ある日その演奏家が世界の音楽シーンで大ブレイクしたときに、「世界から注目されるずっと前から、才能があると思って目をつけていたんだよね!」とニンマリできるわけです(特にこのコンクールでは、ヴァイオリン部門のスヴェトリン・ルセフやクララ・ジュミ・カン、ピアノ部門ではヴァディム・ホロデンコやユジャ・ワンなど、たくさんの前例がありますね)。

 さて、この連載では「仙台国際音楽コンクールへの道」と題し、「クラシックソムリエ」が、クラシック音楽がよりおもしろくなる基礎知識や、コンクール鑑賞の手引きとなる情報をお届けします。2016年、次回の仙台国際音楽コンクールが開催されるころには、出場者たちの音楽を存分に味わうに充分な知識と、“自分だけの審美眼”が身についていることでしょう!