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タン・シヤオタンさんインタビュー  2015/10/3

第2回仙台国際音楽コンクールピアノ部門優勝
タン・シヤオタンさん インタビュー

インタビュアー・文:道下 京子(音楽評論家)

 

現在、北京中央音楽学院で准教授を務めるタン・シヤオタンさんは、第2回仙台国際音楽コンクールピアノ部門の優勝者である。「仙台クラシックフェスティバル2015」出演のために来日したタンさんに、インタビューを行なった。口数は非常に少ないが、その誠実な言葉の一つひとつに、彼の人柄がにじみ出ていた。

 

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―――せんくらで、スヴェトリン・ルセフさんとの演奏を拝聴しました。フランクの《ヴァイオリン・ソナタ》の第1楽章…まるで絵画を見ているような思いに駆られ、感動しました。

「ありがとうございます。」

 

―――仙台には何回いらしているのでしょうか?

 

「少なくても、10回以上は訪仙していると思います。」

 

―――印象に残っている場所などございますか?

 

「私にとって、日立システムズホール仙台は、最も印象深い場所です。それから、勾当台公園とその周辺もですね。宿泊先にも近く、いつも演奏が終わると夜になってしまうのですが、演奏を終えてから勾当台公園のまわりを散歩しました。」

 

―――それぞれ、どんなところを気に入っておられるのですか?

 

「日立システムズホール仙台は、私が演奏した日本のホールのなかでも、最も多く舞台を踏んだ場所なのです。スタッフのみなさんと知り合えたことも、とても嬉しく思っています。とにかく、どの場所にもとても良い思い出がいっぱい詰まっているのです。」

 

―――勾当台公園については?

 

「第2回のコンクールでは、勾当台公園の隣のホテルに滞在していました。向かいのビルの壁面にコンクールの広告が掲載されており、いまでもその光景は、はっきりと覚えています。コンクールの後に仙台を訪れて同じホテルに滞在した際、広告が掲載されていたことを思いだし、とても感慨深かったです。訪仙の際、毎回スケジュールがとてもタイトで、あまり外に出ることができないのです。ですから、遊ぶこともあまりできず、勾当台公園やホテル周辺の散歩、あるいは日立システムズホール仙台でピアノを練習するくらいでしょうか(苦笑)。」

 

―――つづいて、仙台国際音楽コンクールに関してお話をお聞かせください。コンクール優勝後はご自身の音楽生活に変化はありましたか?

 

「コンクール優勝後、演奏する機会が一気に増え、特にオーケストラとの共演が多くなりました。私は、演奏する機会の一つひとつをいつも大切にしています。自分の進むべき道のりのなかで、新たな演奏の機会をいただいた時、そのチャンスを大切に育んできました。そして演奏するたびに、私自身も音楽への知識や経験を蓄積してきました。つまり、演奏の一つひとつが私の音楽を成長させてくれたのです。」

 

―――ところで、タンさんは、オピッツさんに師事しておられますが、それはミュンヘンでですか?

 

「そうです。コンクール優勝後、2005年から2007年まで私はミュンヘン音楽大学へ留学しました。」

 

―――オピッツさんは、あまり生徒をとらないことで知られています。

 

「最初は先生へEメールを送り、会いたい旨をお伝えしました。先生のところへうかがい、1時間半ほど演奏しました。レッスンが終わった直後、「リサイタルをしてくれてありがとう」と仰ってくださったのです!実際にレッスンを受けてみて、とても強いご縁を感じました。結果的に、師弟の関係になりました。
みなさまもご存知かと思いますが、オピッツ先生は多忙な演奏活動をしておられます。でも、時間に余裕のある時は、ずっと聴いてくださいました。私の方が「疲れた」と思ってしまうくらい(笑)。先生は熱心にレッスンをしてくださいます。「こう弾きなさい」とおっしゃることはありません。私に課題を与えることはなく、何をしたいのかを自分で見つけるようにおっしゃいます。経験豊かなオピッツ先生のすぐそばで学ぶことができ、それが何よりも嬉しかったです。」

 

―――今は、北京の音楽院で准教授として務めておられます。

 

「2008年、29歳から母校で後進の指導をしています。」

 

―――音楽院では、何人ぐらい生徒さんを教えておられるのでしょうか?

 

「この学校で教え始めてから現在まで、あわせて20数名います。現在、レッスンしているのは、10名です。」

 

―――他にもさまざまなコンクールに出場しているかと思いますが、仙台国際音楽コンクールは、他のコンクールと比べてどんなところに違いを感じられますか?

 

「仙台のコンクールは、おそらく世界中の若い音楽家にとって、参加しやすいコンクールではないかと思います。例えば、自分のスケジュールのなかで、最良のコンディションで挑戦することができるのです。コンクールの出場者が動きやすいように、運営サイドがさまざまな準備をしてくださいます。とくに、ボランティアのみなさんと運営スタッフのみなさんが、あたたかい心で優しく接してくださるので、友好的な雰囲気のなかで自然にコンクールに臨むことができました。」

 

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―――課題曲についていかがですか?

 

「演奏経験の少ない出場者にとっては、オーケストラと共演する機会はなかなか無いはずです。ほかのコンクールは、コンチェルトはファイナル・ステージで1回演奏するだけです。でも、仙台のコンクールは早い段階でオーケストラとコンチェルトを共演できるので、特に経験の少ない若手の出場者には、大変勉強になり、とても良い経験になると思います。
それから私が出場した第2回コンクールは予選で弦楽五重奏との共演もありました。つまり、ソロやコンチェルトだけではなく、室内楽による審査もあったのです。これほどさまざまな形態での演奏を課すコンクールは、他ではあまり見られませんし、大きな特徴のひとつと言えるでしょう。」

 

―――仙台国際音楽コンクールをこれから受けようとしている若い演奏家に、アドヴァイスをいただけますか。

 

「優勝や順位、勝ち負けなどは関係ありません。このコンクールを受けることで、自分の経験を積み重ね、蓄積していくことができます。ですからみなさん、ふるって挑戦してください。」

 

―――経験することが重要ということですね

 

「まさにその通りです。それに、仙台は美しく、街のみなさんはとても親切で、スタッフのみなさんはパッションに溢れ、同時にやさしく接してくださいますよ。」

 

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―――最後に、ご自身の目指す演奏家像をお聞かせください。

 

「オピッツ先生が目標です。先生は音楽にとどまらず、世の中のあらゆる美しいことを愛でておられます。それがうらやましくもあり、すばらしいと私は思っています。先生は、ピアノや音楽に限らず、さまざまなことを私に教えてくださいました。とても難しいことですが、先生のような演奏家を目指して全力を尽くしていきていきたいですね。」

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