コラム&レビュー
第23回:クラシックソムリエが案内する Road to 仙台国際音楽コンクール
コンクール会場、座席の選び方あれこれ
クラシックソムリエ 高坂 はる香
◇あなたの目的、好みにぴったりの場所はどこ?
コンサートのチケットを買うとき、みなさんはどのように座席を選んでいますか? 今回は2月12日のコンクール鑑賞チケット発売に先駆けて、普段のコンサートでも共通する座席選びのポイント、またコンクールならではのポイントをご紹介します。
◇バランスの良い音と響きで聴きたい派
コンサートホールでは当然、座る場所によって、聴こえ方やステージの見え方が大きく変わります。仙台国際音楽コンクールの会場となる日立システムズホール仙台コンサートホールは、客席数約800で、シューボックス型(靴箱の意味)と呼ばれる形状。ワンフロアでバルコニー席もないので、座る場所による聴こえ方の“当たり外れ”のようなものは、比較的少ないと言えるでしょう。
そうなってくると座席選びのポイントは、何が見たいか、何が聴きたいかの“好み”となってきます。
バランスの良い音と響きで聴きたいという方におすすめなのは、真ん中より後方列の中央エリア。ステージ上で鳴らされた音が、ホールの壁、天井に反射してうまく耳に届くのがこのあたりだと言われます。演奏者の様子も充分に見え、同時に見えすぎることもなく、音に集中して聴くことができそうです。
多くの場合、コンクールの審査員席はホール内で最もバランス良く音が聴こえる場所に設けられます。仙台国際音楽コンクールでも、前述の1階後方より、中央エリアの数列が審査員席となります。
座る場所によって聴こえ方が大きく変わることもあるので、審査委員の先生方が耳にした音が気になる方は、審査委員席の近くで聴くと良いでしょう。圧倒的にすばらしい演奏や、ものすごく個性的な演奏があった後、審査委員の先生方のリアクションをチラ見するのも、ちょっとおもしろいかも。ただし、ジーッと審査委員の先生方ばかり観察するのはご遠慮くださいね!
◇楽器が発する音をダイレクトに味わいたい&演奏者をよく見たい派
一方、楽器から発せられる音をダイレクトに浴びたい、演奏家の息づかいを感じたい、素敵な演奏姿、表情や手元もしっかり見たい!という方は、前列へ。協奏曲では、指揮者とソリストのコミュニケーションの様子も間近で見られるでしょう。
ヴァイオリン部門の場合は真正面が見やすいですが、ピアノ部門の場合は右寄りに座ると顔の表情を、左寄りに座ると指さばきやペダリングを存分に見ることができます。
ただし逆に言えば、前列は演奏者の視界に入りやすい場所でもあるので、出場者の集中を妨げるような動きをしないよう、後方に座る時以上に気を遣いたいところです。
また、協奏曲では、オーケストラ各パートのバランスが偏って聴こえるのでご注意ください。
ちなみに今回の仙台国際音楽コンクール、予選は自由席、セミファイナル、ファイナルは指定席となります。自由席のときにいろいろな場所で響きを確認してみるのもおもしろそう。
また、セミファイナル、ファイナルの指定席には「S席」「A席」の区別がありますが、値段によらず、見たいもの、聴きたいものが得られる場所が、あなたにとっての最高の席です。
ご自分の要望にぴったりの座席ポジションで、存分に若者たちの演奏を楽しんでください。