インタビュー
第9回仙台国際音楽コンクール開催記念コンサートに向けて
ルゥォ・ジャチンさんインタビュー(第8回ピアノ部門優勝者)
仙台国際音楽コンクール事務局

2022年に第8回コンクールで優勝してから、これまで多くのオーケストラとの共演やリサイタルがありました。約3年間で、何か変化はありましたか。
優勝してから、日本で数多くの演奏経験をしましたし、非常に良いホールとピアノ、そして素晴らしい観客と出会うことができました。演奏するたびに少しずつ成長を感じましたし、私と観客の間の「コミュニケーション」を感じることもできました。演奏を続けていると、徐々に音楽の意味について考えるようになりました。音楽とは、心からの表現がたくさん詰まった芸術です。観客は、演奏者の考えていることを聴こえると言えるでしょう。言語と同じように「発音」が上手に練習できても、その言語の「意味」を理解できない場合は、何言っているか理解するのはとても難しいものです。したがって、私の「目標」はあまり変わっていません。自分の中の「音楽における言語」を見つけるために、これからも”旅“をしていきます。この課題を理解するのは、一生かかることでしょう。
2月15日の「第9回仙台国際音楽コンクール開催記念コンサート」でブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏されますが、曲への想いや意気込み、聞きどころなどあれば教えてください。
この曲は、ピアノ協奏曲の中でも最高傑作の一つだと思います。ブラームスは2つのピアノ協奏曲を書いていますが、第1番は若き音楽家ブラームスの天才的才能を示す作品とするならば、第2番はより「成熟した作品」になっています。第2番にはベートーヴェンの影響が多くみられ、例えば第1楽章の冒頭はピアノとオーケストラの対話から始まりますが、ベートーヴェンの協奏曲第4番の冒頭もピアノのソロで始まり対話が繰り広げられます。また、その時代のピアノ協奏曲の多くが3楽章で構成されていましたが、ブラームスの2番は全部で4楽章になっています。そしてその第4楽章は、ピアノとオーケストラの調和が素晴らしく、ピアノとオーケストラとの対話がよく聴こえ、時にピアノはオーケストラの伴奏をしたりもしています。私にとって非常にチャレンジングな協奏曲であり、この曲を演奏できることをとても光栄に思っています。
2月15日にはヴァイオリン部門優勝者の中野りなさんがブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏されます。彼女にエールをお願いします。
中野りなさんは、とても称賛に値するヴァイオリニストです!機会があれば、彼女の全ての演奏を聴いてみたいほどです。彼女は、非常に自然で精神性と深みのある若きヴァイオリニストです。ブラームスの ヴァイオリン協奏曲は、ヴァイオリン協奏曲の中でも最も素晴らしい作品の一つですので、中野さんがこの作品をどう解釈し演奏するのか、とても楽しみにしています!