Sendai International Music Competition

エリザヴェータ・ウクラインスカヤさんインタビュー(第9回ピアノ部門優勝) | 仙台国際音楽コンクール公式サイト

インタビュー

エリザヴェータ・ウクラインスカヤさんインタビュー
(第9回ピアノ部門優勝)

音楽ライター:高坂 はる香

インタビュー日:2025年6月29日

—全ての演奏を終えて、今のお気持ちは?

 チャイコフスキーの協奏曲を2回演奏しましたが、全く別のコンチェルトを弾いた気分です。というのも、本選のときは「登録番号42番」という名前で呼ばれて弾きましたが、入賞者披露演奏会では「優勝者のウクラインスカヤ」として演奏できたからです!

—モーツァルトの協奏曲K467のカデンツァは自作だそうですね。

 はい、1楽章のほうは1年前、3楽章のほうは日本に着いてから書き始めたものです。
 まずはモーツァルトの楽譜を開いて主題を書き出したあと、偉大な先人たち、例えばシフのようなピアニストがどの主題を使いどんなカデンツァを書いたのか聴き比べました。そのうえで自分が好きな主題を並べて作曲し、マエストロ高関に渡すため、5時間かけて楽譜を作りました。自分のカデンツァを弾いたのは初めて。評価していただけたことが嬉しいです。

—チャイコフスキーではオーケストラと親密にコミュニケーションをとっているようでしたね。

 初めてオーケストラと演奏したのは20歳のときで、回を重ねるにつれてオーケストラを聴く余裕ができ、今は室内楽のように一緒に音楽を作る感覚を持てるようになりました。
 マエストロ高関と仙台フィルは、最初から私の好きなように弾かせてくれました。“サポートするから自由に弾いて”という気持ちが伝わり、力をくれました。最高のマエストロとオーケストラです。

—演奏後、毎回マエストロの手をとっていたのはその気持ちの表れですか?

 マエストロは毎回控えめに、後ろに隠れてソリストを立てようとしてくださっていましたが、考えてみれば誰よりも仕事量が多かったのですから、感謝の気持ちを表しました!

—音楽の道に進んだきっかけは?

 両親がロシア文学の言語学者で、私は彼らが講義のため一時的に訪れていたドイツで生まれ、3ヶ月後にサンクトペテルブルクに戻りました。
 歌が好きで5歳で合唱団に入りましたが、メインメンバーになるには楽譜を読めないといけないといわれ、母に相談して音楽院に入りました。今はサンクトペテルブルク音楽院で教えながら論文執筆中です。テーマはムソルグスキーのピアノ作品です。

—仙台国際音楽コンクールを受けたきっかけは?

 これが2回目の挑戦で、前回は予備審査を通過できず、仙台に来られませんでした。でもとにかく日本が大好きで、特に映画は黒澤映画からジブリまでいろいろ観ています。以前数日だけ日本に来ましたが、もう一度ちゃんと訪れたくて参加しました。

—これまでに受けたマスタークラスなどで印象深かったのは?

 シフですね。私にとって彼は“天上の人”ですから、その人が目の前で教えてくれていることが信じられませんでした。彼のタッチは特別で、まるで子猫を撫でる時のようです。音を出したときの柔らかさ、注意深さ、優しさに人間性が表れています。大きな愛情をもって接してくれて、彼の前で弾くだけで上手くなる気がしました。

—ご自身が教える立場で心掛けていることは?

 たくさんあります。私は厳しい先生なんですよ(笑)!
 音楽は指と耳だけで作るものではないので、一緒に劇場に行き、本を読み、シェイクスピアの作品を役を振り分けて朗読します。木や花の名前、鳥の鳴き方、ラファエロが描いたマドンナはどんな絵か知ることを大切にしてほしいと伝えています。

—仙台観光はできましたか?

 はい、アレクサンドル・クリュチコさんと青葉城址にいき、近くの遊園地でジェットコースターに乗って髪飾りを失くしました。お店の人が小さな窓から手だけ出して料理を提供してくれるラーメン店には3回行きました(笑)。あと文房具が大好きなので、ファイナルの後は自分へのご褒美として2万円分くらい買いました!

—Shigeru Kawaiを選んだ理由は?

 フィーリングで選びました。Shigeru Kawaiは今回初めて弾きましたが、自分に近い性格だと感じたのです。河合楽器のみなさんはまるで家族のように支えてくれました。ここで感謝を申し上げたいです!

 

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