プロフィール
©Angie Kremer
ギドン・クレーメル(ラトビア) Gidon KREMER
ヴァイオリン部門 審査委員
ラトビアのリガ生まれ。4歳より父と祖父からヴァイオリンの手ほどきを受ける。現地の音楽学校で学んだのち、モスクワ音楽院でダヴィッド・オイストラフに師事。1969年パガニーニ国際コンクール、1970年チャイコフスキー国際コンクールにて相次いで優勝を果たす。
バーンスタイン、カラヤン、アーノンクール、マゼールなどの指揮で世界のトップ・オーケストラと共演を重ねるほか、室内楽でも活躍。妥協のない芸術的哲学から生み出される独創性に富んだ演奏解釈とその技巧により、唯一無二のヴァイオリニストとしての地位を不動のものにしていった。
レパートリーはバロック、古典から現代作品まで広範にわたるが、とりわけロシアや東ヨーロッパの作曲家の発掘や演奏に熱心で、新曲も数多く献呈されている。また、シュニトケ、ペルト、グバイドゥーリナといった旧ソ連の現代作曲家やアルゼンチン・タンゴの革命児とも言われたピアソラなどの作品とも深く関わり、伝統を重んじながらも作品の斬新さや独創性を十分に活かした演奏で、多くの聴衆に知られざる名曲を紹介してきた。
レコーディングも傑出しており、これまでに120を超えるアルバムを制作。エルンスト・フォン・シーメンス音楽賞、ウナ・ヴィータ・ネッラ・ムジカ=アルトゥール・ルービンシュタイン賞、ユネスコ国際音楽賞などの国際的な賞を受賞。2016年には世界的に顕著な業績をあげた芸術家に授与される高松宮殿下記念世界文化賞を、ヴァイオリニストとして初めて受賞した。
1997年、バルト三国の才能ある若い音楽家の育成を目的とした室内楽オーケストラ「クレメラータ・バルティカ」を創設。世界各地で演奏ツアーを行っている。近年はポーランド出身の作曲家ヴァインベルクの作品を演奏会で積極的に取り上げており、2019~2022年にはドイツ・グラモフォン、アクセンタス・ミュージック、ECMからヴァインベルクの室内楽、管弦楽作品をリリースしている。